無題 〜奇跡の7つ子〜

30:♣ウサギ♣

「返してなんて言わないでよ。アリス。これは、私の体で私のものだよ?あんたなんかに、返してなんて言われる筋合いなんてない。」

強く言い放たれた言葉には、憎しみと、嫉妬が、込められていた。

「ウサギ。私、ウサギに、なにかしちゃったの?」

「“なにかしちゃったの?”って、馬鹿じゃないの?前までは、すごいと思ってたアンタが、今は、生まれたての子ヤギに見えるよ。」

心が揺らぐ

「いいか。私は、あんたが嫌いだ。大嫌いだ。死ねばいいと思った。今だって、死んで欲しくて、殺したくてウズウズしてる」

ウサギは、後ろから、何かを出した。

「だけど、あんたは、その変な呪文で、交わすんだろ?」

いや、違う、ウサギの後ろから、何かが生えた。

「これか?可愛いだろ?可愛い可愛い、私のおもちゃ。」

そう言って、ウサギは、それを撫でる。

それというのは、触手だった。

「で、私は、これを避けられないようにするために、マッドに頼んだ。お前の呪文効果を、十分止めてくれってな。」



さあ、ダンスの始まりだ




誰かが、私の頭の中で言った。

怖い不気味な声。


でも、待ってよ。

ダンスの前に、聞きたいことがある。

「あなたの目的は何?復讐の理由は?殺したい理由は?」

口に出して言っていた。

いつの間にか…言っていた。

完璧な無意識。


「私の、あんたを殺したいわけは」
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