お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
嘘をついたと思われたくないので、「同居していますが、彼氏じゃないですよ」と私はすぐに否定する。


「そうだよね?」と彰人に同意を求めたが、彼は成田さんを睨みつけるばかりでなぜか頷かない。

その視線が私に向けられたと思ったら、突然、腕を取られて強く引っ張られた。

「キャッ!」と驚きの声をあげた私は、彰人の胸に飛び込んでしまい、背中に彼の片腕が回された。

きつく抱きしめられ、『どういうこと!?』と心臓を波打たせると、耳元に怒りをこらえているような低い声を聞いた。


「確かにこれまではただの同居人だったが、今から俺が莉子の彼氏だ。二度と手を出そうとするな」

「え……ええっ!?」


盛大に驚いてから、慌てて口を挟もうとしたら、大きな手のひらが後頭部にあたり、彼の胸に顔を押しつけられる。

『なに言ってんのよ!』という反論の言葉は、モゴモゴとして、伝えられない。


私を好きでもないのに、なぜそんなことを言うの……?


夜中に迎えに来なければならないこの状況は、彰人にとって不愉快なことだと思われる。

今後、同じような迷惑をかけられないようにという予防的な意味で、私に近づく男性を排除しようと目論んだのだろうか?

迎えに来てもらった分際で強く抗議することはためらわれるけど、その交際宣言に『私の承諾は?』と意見したくなる。

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