お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
それなのに、二十人ほどの社員の隙間を縫って、部長の視線が私を捕らえて止まったから、驚いて心臓が跳ねた。
「三班の織部、専務がお呼びだ。今すぐ専務室に行ってくれ。要件は来てから話すと仰っていたが……お前、なにかしたのか?」
専務からの呼び出し……!?
なにかしたのかと怪訝そうに問われても、逆に私が同じ質問をしたくなる。
私と専務の接点はないに等しく、入社して四年目になるが会ったこともない。
社長や副社長は、社員総会で挨拶する姿を目にしたことがあっても、末端社員の私は専務の名前すら知らないのだ。
呼び出される理由に心当たりなど、あるはずがない。
全営業部社員の注目の中、冷や汗をかいて「わ、わかりません」と上擦る声で答えたら、岩寺部長は首を傾げて唸るようなため息をついてから、「とにかく行ってこい」と私に指示した。
「はい……」
焦りと困惑を抱えた私は、朝礼を抜けて廊下に出る。
この階には企画部も入っているのだが、そちらも朝礼中のようで、廊下は無人であった。
エレベーターに乗り、十七階のボタンを押す。
そこが最上階で、重役たちの執務室が集中している。
エレベーターが上昇している間、頭の中は忙しなく、呼び出し理由を探していた。
「三班の織部、専務がお呼びだ。今すぐ専務室に行ってくれ。要件は来てから話すと仰っていたが……お前、なにかしたのか?」
専務からの呼び出し……!?
なにかしたのかと怪訝そうに問われても、逆に私が同じ質問をしたくなる。
私と専務の接点はないに等しく、入社して四年目になるが会ったこともない。
社長や副社長は、社員総会で挨拶する姿を目にしたことがあっても、末端社員の私は専務の名前すら知らないのだ。
呼び出される理由に心当たりなど、あるはずがない。
全営業部社員の注目の中、冷や汗をかいて「わ、わかりません」と上擦る声で答えたら、岩寺部長は首を傾げて唸るようなため息をついてから、「とにかく行ってこい」と私に指示した。
「はい……」
焦りと困惑を抱えた私は、朝礼を抜けて廊下に出る。
この階には企画部も入っているのだが、そちらも朝礼中のようで、廊下は無人であった。
エレベーターに乗り、十七階のボタンを押す。
そこが最上階で、重役たちの執務室が集中している。
エレベーターが上昇している間、頭の中は忙しなく、呼び出し理由を探していた。