お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
専務が社員の誰かを呼び出す時は、必ず秘書を通していたのか、西尾さんは私の説明になおも釈然としない様子であった。
けれども、私からこれ以上の情報を得られないことはわかったみたいで、「こちらです」と廊下を先に立って歩き出す。
その案内に従って進むと、エレベーターを過ぎて個室のドアをふたつ見送り、二十メートルほど歩いた先にある扉の前で彼女が立ち止まった。
ドア横には、【専務室】という小さなプレートが貼られている。
西尾さんがドアをノックすると、「どうぞ」という低い声が中から小さく聞こえ、電子錠が解錠された音がする。
叱責のための呼び出しであろうという推測のもと、緊張と不安で私の鼓動は大きく速く鳴り立てた。
ドアを開けて先に一歩、中に入ったのは彼女で、「営業部の織部さんをお呼びになりましたか?」と確認している。
その斜め後ろに立つ私は、彼女の頭と肩越しに室内を覗いているのだが、ブラインドの下された窓とその手前にある黒い革張りのソファセット、観葉植物の鉢植えにコーヒーメーカーしか見えない。
この角度からでは、「ああ、呼んだ」と部屋の奥で答える、声の主の姿を目にすることはできなかった。
けれども、私からこれ以上の情報を得られないことはわかったみたいで、「こちらです」と廊下を先に立って歩き出す。
その案内に従って進むと、エレベーターを過ぎて個室のドアをふたつ見送り、二十メートルほど歩いた先にある扉の前で彼女が立ち止まった。
ドア横には、【専務室】という小さなプレートが貼られている。
西尾さんがドアをノックすると、「どうぞ」という低い声が中から小さく聞こえ、電子錠が解錠された音がする。
叱責のための呼び出しであろうという推測のもと、緊張と不安で私の鼓動は大きく速く鳴り立てた。
ドアを開けて先に一歩、中に入ったのは彼女で、「営業部の織部さんをお呼びになりましたか?」と確認している。
その斜め後ろに立つ私は、彼女の頭と肩越しに室内を覗いているのだが、ブラインドの下された窓とその手前にある黒い革張りのソファセット、観葉植物の鉢植えにコーヒーメーカーしか見えない。
この角度からでは、「ああ、呼んだ」と部屋の奥で答える、声の主の姿を目にすることはできなかった。