お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
「織部さん、答えて」と東条さんが凄みながら近づいてくるので、私はさらに足を下げた。

そうしたら、西尾さんの調理台に腰をぶつけてよろけ、転びそうになってしまう。

「あっ」と焦りの声をあげたら、誰かの逞しい片腕に腰を引き寄せられ、体を支えられた。

その顔を見上げれば、隣に立ち、私を抱き寄せているのは彰人であった。


近すぎる距離に思わず鼓動を弾ませる。

そんな私に代わって彼が、東条さんの質問に、不遜な態度で答えていた。


「莉子は江戸から百八十年続く、由緒正しき織部茶問屋のひとり娘だ。これくらいはできて当たり前の躾をされている。勝手に見くびっていたお前たちが間違えていたということだ」


ニヤリと口の端をつり上げた彼を、私は頬を膨らませて見上げていた。

なんで彰人が、私のことを自慢げに話すのよ。

まぁ、彼女たちに見下されていたのはわかっていたし、ぎゃふんと言わせた気分で、悪い気はしないけどね……。


「元からお嬢様だったということなのね……」と東条さんは悔しそうに唇を噛み、西尾さんは諦めのため息をつく。

ふたりが完敗を認めたところで、大和撫子対決はお開きとなった。

< 218 / 255 >

この作品をシェア

pagetop