お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
マンションに帰ってきたのは、十九時頃のこと。
彰人の作った親子丼を「ご馳走さま」と食べ終えた私は、カウンターテーブルの隣の席でビールを飲み、上機嫌に鼻歌を歌っている男に文句をつけた。
「どうするのよ。うちの親、完全に期待しちゃったんだけど」
対決の後、片付けが済んで、審査員や観客、対戦者も帰った座敷に、私の両親と私たち四人が残った。
そうなるだろうと予想していたが、私の嫁ぎ先が決まったとばかりに喜ぶ父が、「結納の日取りのご相談なのですが」と彰人に話しかけた。
それに対して彼は、「今は忙しくしておりまして、それについては追い追い……」と言葉を濁してごまかした。
それを隣で聞いていた私は、彼が使った意味とは違う『おいおい』という同じ言葉を、心の中で呟いたのであった。
和食料理対決に四試合分の勝ち星を与えると言われた時は、彰人は私との同居を終わらせようとしているのだと思い、寂しくなった。
けれども実際はそうではないようで、私に作るべき料理を教え、味方してくれたのだ。
卵料理という課題にしたのは、私を勝たせようと思ったためであろう。