お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
ということは、彼もこの生活を続ける意思があるのだと思われるが、親まで巻き込む結婚話にまで広がると、同居の期限がきた後に私が困ることになる。

『別れたのか!? お前、なにを言って高旗さんを怒らせた』と父は私を叱り、夢破れた母は泣き崩れるに違いない。


彰人の最終的な狙いは、見合いをドタキャンして彼に恥をかかせた私を惚れさせて、振ることにある。

もしや、惚れさせるのは無理だと判断しての、交際宣言なのだろうか?

親を含めた周囲に、私たちが恋人関係にあると誤認させ、そして二カ月の期限がきたら、自分から交際を終わりにしたとでも吹聴する気なのではないか。

そうすれば、彰人のプライドだけは守られる。


五百ミリリットルの缶ビールをグラスに手酌して飲んでいる彰人は、鼻歌を歌うのをやめてじっと私を見つめ、ニヤリとした。

自分勝手な奴だと呆れている私は、親を巻き込むなという気持ちをぶつけたのだが、彼は真面目に聞く気がないのか、つまみの枝豆に手を伸ばし、とんちかんな返事をする。


「お前の両親、欲望に正直な性格をしているよな。驚いたり、喜んだり、泣いたり、ころころ表情が変わって面白い。俺は嫌いじゃないぞ。この先も楽しく付き合っていけそうだ」

「はい……?」
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