お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
形成逆転とばかりに意地悪く笑う彼は、立ち上がると紺色のエプロンを脱いで、私に着せた。

背後に回って、紐まで結んでくれている。


ブカブカなエプロンを強制的に着せられた私は、まるで母親のお手伝いをしようとしている子供みたい。

彼もそう感じたらしく、プッと吹き出して、「火傷したら困るからやめておくか?」と馬鹿にし、大きな手で私の頭をよしよしと撫でた。


いちいち癇に触ることを言ってくれるね……。


ムッとしてその手を払い落とし、「作ります」と私はキッチンの前に立つ。

だしは彼が作ったものの残りを使い、卵を二個ボウルに割り入れ、醤油を少々。

材料は全く同じなので、きっと味も専務と似たように……とは、ならなかった。

私の隣に立ち、作っている様子を黙って観察していた彼は、できあがったものをひと切れ口にして嘲笑う。


「下手くそ。採点するなら五十点だな」


下手ではなくこれが普通だと反論したかったが、彼の卵焼きを百点とするなら、確かにそのくらいの点になってしまう。

私が焼いたものは固めでふわふわ感が圧倒的に足りない。風味も不足している。


だしの量が少なかったのかな。

でも多く入れると形を作れないし……。


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