お見合い相手は俺様専務!?(仮)新婚生活はじめます
「ぐちゃぐちゃになるよりは、このくらいの方が……」


私も食べながら、ブツブツと言い訳めいた独り言を呟いていたら、「教えてやるから覚えろ」と言われた。

それは馬鹿にした口振りではなく、不出来な妹の世話を任された兄のように、やれやれといった口調だ。

横柄な彼だから、嘲る目的で作らせたと思っていたところだったので、私は目を瞬かせてその横顔を見つめる。


意外と面倒見がいいのかもしれない。

自ら教えてやると言ってくれるタイプの人が上司なら、部下は仕事がしやすいものだ。

上司として彼はアリだと判断したけれど、あまりに上の役職すぎて、私との業務上の接点はこれっぽっちもない。


彼は卵を片手で器用に割り入れていた。

顔を前に向けたまま、横目でジロリと私を睨んで舌打ちする。


「今は見惚れるな。教えてやってんだから、俺の手元を見ろ」

「み、見惚れてないですよ!」


確かに彼は凛々しくも麗しく、端正な顔立ちをしているけれど、目を奪われて放心していたわけではない。

慌てて彼の横顔から視線を外し、卵三個が入ったボウルを見れば、だしと醤油の他にみりんも入れていた。
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