無敵の剣
役に立たない、私
「よう 目覚めたか?」


土方さん…?



声で、わかる


「ゼンと先生には、帰って貰った
俺は、近藤さんの許可を貰って外泊だ」



そんなこと聞いてない


どうしてここにいるのかは、知りたいが



「顔は、そっくりなんだろうが…
アイツ、中身がまるで似てねぇな
言っておくが…
幹部は、全員気づいてるぞ」



「にゃあ」



ネコが私の頬をなめる


「本物の斎藤一と入れ替わったんです
私は、見ての通り… 女ですから
ご迷惑になる前に…」


「迷惑なんか思うかよ…
俺が…どれだけ、お前を頼っていたか」


「山崎さんがいる」


「山崎とお前が欲しいって、言っただろ」


「もう… 斬れません」


「すまなかった… 嫌な役ばかり
平助から、吐いてたって聞いて…
だから、嫌になって入れ替わったのかと…
俺のせいで…」


「クスクス 土方さんのそういうとこ
本当に優しいなって思います
死ぬなら、あなたの為に死にたかった」


土方さんが私の頬を拭う


あぁ、私… 泣いているんだ



「俺は、死ぬことなんて望まねえ」


「知ってる だから、怪我もしないように
必死で…
一は、私より強いから役に立つよ」


「アイツは、アイツで
お前は、お前だろ!!
新選組に戻ってこい!!!」



不思議…

土方さんは、壱を一って呼ばないんだ?




「目が、見えないんです」



土方さんが、私の両頬を包みこんだ

きっと、覗き込んでいるんだろう



私を見つけてくれて、ありがとう



「土方さん、もう…
ここには、来ないで下さい」



「なら… お前を屯所に連れて帰る!」




「は?え?ちょっと待て!!
私、寝間着!!じゃなくて!!
無理!!皆に会わす顔がない!!
下ろせーーーーーーー!!!!!」


布団から、起こされて
パサリと羽織をかけられ
あっという間に横抱きされている




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