無敵の剣
廊下に出るとピタリと立ち止まる


「皆に言われてんだ
お前を見つけるまで、帰って来るなって
このまま帰るんじゃ
俺が皆に会わす顔がねぇんだよ!」




私は、土方さんの襟元を摘まんだ


「下ろして」



優しく、ふわりと下ろしてくれた


少しクラクラする


ふらついた体を抱きとめられる



「そういえば!どうしてここが?」


「ネコの後をつけただけだ」


「なるほど…」





土方さんの胸を押し、微笑む



「私、これからは女として、生きると決めました!新選組には戻れません!」



壱がいるから…

なんて、言えない



微笑む私の後ろ頭が掴まれ

唇に柔らかいものが…




軽く触れて、離れた





「なら… 俺の女になれ」


「はあ?何した!?馬鹿か!?」


「クククッ 本当のお前をもっと見たいな」



懐かしい


土方さんの笑い声





私は、先ほどといい、涙もろい




息をするのも苦しいほど
むせび泣いた







土方さん…








私は、あなたが好きです














あなたが、必要としてくれるなら

どんな汚れ役もしたいのに







「ごめんなさい すみません」







目が見えなくなった私には

壱と離れたい私は



泣いて、謝ることしか出来ない


















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