無敵の剣
言ってから、急に黙る
山崎さんのいるだろう所へ顔を向けた



「沖田さん… 少し前から、体調崩してな
斎藤に会いたいって、囈言を…
せやから、斎藤を探す方法を考えてん
以前、捲かれたとこから、ネコを離して
後をつけるって… アホかと思ったけど
さすが、副長や!
俺も斎藤に会いたかったんやで!」


「沖田さん…大丈夫なのか?」


「屯所変わってすぐの健康診断で
労咳やって診断されたんや…」


「労咳…?沖田さんが?
そんな…山崎さん!沖田さんが労咳って…」


「せやから、副長…ずいぶん落ち込んで
しばらくふさぎ込んでたんやで
久しぶりに調子良くて、やっぱり
斎藤がおらんとあかんなって
沖田さんかて、斎藤に会ったらきっと
元気になるはずや!」





土方さんが、そんな大変な時に

私は、何の役にも立てそうにない




ゼンさんは、新選組であった事を
たくさん聞かせてくれていたけど
私が心配することは、ふせてたんだな





目を閉じた







「もう一つ」



目を開けた

見えるわけじゃないけど




「藤堂さん、記憶を無くしてたらしいんや」


沖田さんと土方さんに初めて会った日に
言っていたのが、藤堂さんだったんだ…



「記憶を取り戻して
それで… 伊東甲子太郎を入隊させた
せやけど、ちょいクセが悪い男でな
山南さんを切腹に追い込んだのも…伊東


藤堂さん

試衛館の皆と距離を置いてる
伊東に操られているみたいな」




胸がざわつく

私が新選組に戻っても
状況が改善するわけじゃないけど


土方さんが
沖田さんが
藤堂さんが


心配で…







「すまんな
斎藤も大変そやのに…
俺も屯所では、誰とも話されへんから…
明日の朝までおるし、寝や」


「ありがとう」










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