無敵の剣
そして、土方さんが少し気まずそうに
頬を掻いた



「君菊との間に俺の子が産まれる」



さすがに、へえだけで返せない



「おめでとうございます」



見えなければ、気にもならなかった

土方さんの困惑した表情



それ、私がするはずだろ



皆も私を凝視する

視線を感じ、首を傾げる


「なに?」


「一 なんか、雰囲気変わった」


「私は、元々こうだ
まぁ、代わりを勤めた壱に少しくらい
似せないと怪しまれるかもしれないな」


「そうじゃなくて…」


「斎藤君! 散歩に行こう!
新選組の状況とか色々、私が教えてあげる」





沖田さんの空気を読む力は健在だ





「体調良さそうだな」


「うん」





沖田さんは、人気の無い河原に私を連れて来て、腰を下ろした

私も隣に座る


「驚いたよね」


「ああ」


「私も、驚きましたよ
斎藤君が… 出会った頃のように
私達と距離を置いているから」


「仕事だからな」


「気を張りすぎじゃない?」


「私は、そんなに強くない
今は、それを痛感している
だから… これくらいが丁度いい」


沖田さんは、新選組の今の状況を
話してくれた

相変わらずの身振り手振りの大きさに

真面目に聞いているつもりが



「聞いてる?」


「……いや、聞いてなかった」


「もう!!ちゃんと聞いてよ!!!」






だって、沖田さんを見てるのが楽しくて…







「聞いてる?」



「……すまない」



「もう!!斎藤君ったら!!!」





< 179 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop