10歳の年の差はどうやって埋めますか?
「でもしばらくは私も市役所に行く暇がないくらい忙しかったんですけどね。私は事務が本職ですけれど、現場に出る事もあるんですよ。」

「えっ?」

「もちろん工事に携わるわけではありません。完成前の検査チェックをしたりする程度ですけど。」

くるくると変わる松田さんの表情を見ているととても楽しい。

美術館の中での様子と全然違う。

「…それでなんですが…。」

松田さんが今度は真面目な表情で話題を変えた。

「私とお付き合いはしていただけますか?」

「さっきも言いましたけど、早過ぎませんか?」

私は妙に顔がほてってくるのを意識しながら答える。

「ではあなたは何を言うつもりだったのですか?」

今度は首をかしげる松田さん。

「また美術館に一緒に行きたいなと思っています。…今度はちゃんと約束をして。」

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