10歳の年の差はどうやって埋めますか?
「いやいや、それはデートってことでしょう?それなら付き合うというのと同じでしょう。」

「えっ?」

「私達が一緒に美術館で鑑賞するって事は、それほどの意味があるんじゃないですか?」

多分松田さんも一緒に回るあの感覚が特別だと感じているんだろう。

「あの…、年齢とか職業とか気になりませんか?」

私は松田さんに恐る恐る聞く。

何しろ年齢は私が10歳も年上だし、仕事にしても男社会だ。

市役所勤めの松田さんには想像しにくいだろう。

「それはあなたにとってそんなに大きな意味がある事なんですか?」

「でも…。」

「あなたと行く美術館は楽しい。そしていつも横に居て欲しいと思う。それだけじゃダメですか?」

女は年齢を重ねると、自分で知らず知らずのうちに壁を作ってしまうのかもしれない。

< 27 / 169 >

この作品をシェア

pagetop