イジワル上司にまるごと愛されてます
来海はオフィスの前で足を止め、呼吸を整えてからドアを開けた。右側のシマの一番奥にある主任席に着いたとき、斜め前の席から美由香が声をかけてくる。
「雪谷課長、どうかされたんですか?」
「えっ、あ、じ、自販機の使い方を教えてほしかったみたい」
来海が慌てて答えたとき、オフィスのドアが開いて柊哉が戻ってきた。大股で歩いて来海のデスクに近づき、右手に持っていたアイスティーの缶をデスクにトンと置く。
「忘れ物」
「あっ、すみません」
慌てて逃げ出したので、肝心のドリンクを取り出すのを忘れていた。
柊哉は来海の耳元に唇を近づけてささやく。
「このシステムならロンドンでも去年から導入してる」
来海が柊哉の方を見ると、彼は片方の口角を引き上げてニヤッと笑った。来海は頬が瞬時に赤くなり、それを隠すように両手で頬を押さえる。
「買ったドリンクを忘れちゃうなんて、来海さん、お茶目ですね」
美由香に言われて、来海はますます顔を赤くしながら体を縮込める。
「ホントだな、四年前から変わってない」
(わ、悪かったわねっ!)
来海はキッと柊哉を見たが、彼は涼しげな表情で、一メートルほど離れた課長席に向かっていた。
「雪谷課長、どうかされたんですか?」
「えっ、あ、じ、自販機の使い方を教えてほしかったみたい」
来海が慌てて答えたとき、オフィスのドアが開いて柊哉が戻ってきた。大股で歩いて来海のデスクに近づき、右手に持っていたアイスティーの缶をデスクにトンと置く。
「忘れ物」
「あっ、すみません」
慌てて逃げ出したので、肝心のドリンクを取り出すのを忘れていた。
柊哉は来海の耳元に唇を近づけてささやく。
「このシステムならロンドンでも去年から導入してる」
来海が柊哉の方を見ると、彼は片方の口角を引き上げてニヤッと笑った。来海は頬が瞬時に赤くなり、それを隠すように両手で頬を押さえる。
「買ったドリンクを忘れちゃうなんて、来海さん、お茶目ですね」
美由香に言われて、来海はますます顔を赤くしながら体を縮込める。
「ホントだな、四年前から変わってない」
(わ、悪かったわねっ!)
来海はキッと柊哉を見たが、彼は涼しげな表情で、一メートルほど離れた課長席に向かっていた。