蜜月オフィス~過保護な秘書室長に甘やかされてます~
心持ち明るい声音で出された返答に、ひっと引きつった声が出た。
ちょっぴり男性と仲良くなれても、そのあとなぜか不思議と距離を置かれてしまうことが今まで何度もあった。
そして何より、中條さんに直接邪魔されたことだってある。
原因はこれかと私は拳を握りしめた。
「だから私に彼氏ができなかったのか!」
「いえ違います。それとこれとは別問題です。何か大切なことを棚に上げておられます。分からないなら、はっきり教えて差し上げますが」
「いえ。結構です」
彼氏ができないのは私自身の問題。
遠回しにそう言われ、私は切なく痛む胸に両手を重ね置いた。
「私もう二十七歳なんですけど。いつまでも子供じゃないし、例え言い寄られたとしても自分でなんとかできるので放っておいて欲しいです」
「そうでしょうか?」
カウンターの向こうから少し身を乗り出す形で、中條さんが私の顔を覗きこんできた。
温かなものが頬に触れ、それが中條さんの指先だと気が付いた瞬間、鼓動が大きく高鳴り出す。
「ちょうどこの辺りに、どうしよう誰か助けてって書いてあったように俺には見えましたが」
言いながら、彼の指先が私の頬をなぞるように動いた。