蜜月オフィス~過保護な秘書室長に甘やかされてます~
「花澄ちゃん可愛いから、男は途切れなさそうなのに……なぁなぁ、どれくらい彼氏いないの?」
「秘密です!」
言いたくなくて、私はそっぽを向く。
幼いころ、私は兄が大好きだった。
だからお付き合いするなら、結婚するなら、兄みたいな人が良いとずっと思っていたけど……うちの兄は特別だと気付くまでにものすごく時間がかかってしまったのだ。
どこから見ても完璧な兄を基準にしてしまったおかげで、合格ラインを超える男性に全然巡り合うことが出来なかった。
これではだめだと考えを改め、一度だけ男性とお付き合いをしたことがある。それが大学生一年の時だ。
とは言っても、二度目のデートでキスを迫られ、私がそれを受け入れられなかったことでギクシャクしてしまい、すぐに関係は解消となってしまった。
結局、私はその男性のことをそこまで好きではなかったのだ。
その時、心から好きだと思える人と出会えるまで焦らず待とうと決めたのだが……さすがに二十五歳を過ぎたあたりから、このまま待っているだけではダメかもしれないという焦りが生じ始めている。