蜜月オフィス~過保護な秘書室長に甘やかされてます~
次から次へと彼女を変えていたため、端から見ていても水岡先輩の周りでは女性トラブルが多かった。
だから誘いに乗ってしまったら最後、その修羅場に自分も巻き込まれてしまうのは明白で、私は何だかんだ理由をつけて断り続けていたのだ。
「今の、聞かなかったことにさせてもらいます」
女遊びが激しい印象を払拭できない限り、彼氏に立候補されても受け入れられるはずもなく、私は両手で耳を塞いでみせた。
「やっぱり。花澄ちゃんは手ごわいなぁ。でもその方が俺も燃えるけど」
「燃えなくて良いですから」
すかさず言い返せば水岡先輩がはははと笑った。そして頬杖をつき、真剣な顔で再び私を見る。
「酔っぱらいの戯言だと思って、もう一つだけ俺の話を聞いてもらって良い?」
「なんですか?」
「花澄ちゃん、うちで働いてみない?」
「……えっ?」
まさかの言葉に、ほんの数秒だけ時間がとまった。
「水岡先輩のデザイン事務所で、ですか?」
「あぁ。もちろん倉渕物産は大企業だから給料も高いだろうし、なにより自分の父親の会社だから居心地も良いだろうけど……なんか勿体ないなぁと思って」
勿体ないとはどういうことかわからずにいると、水岡先輩が続きを言葉にする。