蜜月オフィス~過保護な秘書室長に甘やかされてます~
時刻は夜の十一時を過ぎている。お互い明日も仕事だし、そろそろ解散した方が良いかもしれない。
そんなことを考えながら、道路の路肩に空車のタクシーが停まっていないか探していると、突然腕を掴み取られた。
振り返ると同時にぐっと引き寄せられ、抵抗する間もなく水岡先輩にきつく抱きしめられてしまう。
「水岡先輩っ!?」
「俺、花澄ちゃんと離れたくないな。もうちょっと付き合ってよ」
「……いや。明日も仕事ですし、そろそろ帰りましょう」
水岡先輩に勧められ、飲みなれていないお酒を何杯も飲んでしまったためか、頭がぼんやりしているし、ちょっぴり眠くもなっている。
こんな状態のまま水岡先輩と二軒目に突入などしてしまったら……目覚めたら彼が裸で隣に寝ているなんていう恐ろしい失敗をやらかしてしまいそうな気がする。
「花澄ちゃん。あとちょっとだけ……」
「いえ! ダメです! ほんと無理です! 私、帰ります! それと先輩、もうちょっと離れましょう!」
声を大にして断りながら、両手で水島先輩の胸元を力いっぱい押したけれど、彼の身体はびくりとも動かなかった。
「そうだね……一緒にいたいのはやまやまだけど、今日は我慢しておくよ」