オオカミ弁護士の餌食になりました

 今まで感じたことのない柔らかな感触に、頭が真っ白になる。

 息ができない。

 長い時間のように思えたけれど、実際はほんの数秒だったらしい。

 香坂さんの唇が離れて、私は信じられない思いで彼を見上げる。 

「なに、するんですか」

 心臓が激しく打って痛い。突然のことに、いろんな感情が混ざって頭の中がぐちゃぐちゃになる。

 なにが起こったのか理解できないでいる私を、香坂さんは真剣な顔で見下ろす。

「君は、俺の恋人だろ」

 そんなふうにどきりとするようなことを言わないでほしい。だって。

「フリだけでしょう?」


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