オオカミ弁護士の餌食になりました
低い声が直接耳に響くようだ。
香坂さんのシャツ越しに伝わってくる体温が、私の体温と混ざって同じ温度になる。そんなふうに思えるくらい、彼はぴたりと私に体を寄せている。
高校生のときのことを考えると、信じられない状況だった。
優しくて頼りがいのあった理想のお兄ちゃん。
好きというものがどういう感情なのか知らないまま、顔を合わせる機会がなくなり、そして去年思いがけず再会した彼。
高校生の頃にぼんやりと抱いていた気持ちが、今になって大きく膨らみ、はっきりとした輪郭を結んでいる。
今なら、その気持ちに名前をつけることも簡単だった。