オオカミ弁護士の餌食になりました


 就職が決まってから実家を出てひとり暮らしをはじめた私の部屋は、六階建てマンションの最上階で坂の上ということもあり、ベランダから夜のきらめく街並みを見渡すことができる。

 でも香坂さんのマンションは、それとはレベルが違った。

 三十階建てタワーマンション、二十八階の1LDK。

 そこからの眺望は、あのホテルで見た景色の続きのようだった。

 あのときとちがうのは、彼が私をリビングに招き入れた途端、有無を言わさず抱きしめてきたということ。

「こ、香坂さん」

「少し、黙って」

 背中に回された手に力が込められて、胸の高鳴りが加速する。

「悪い。しばらくこのままで」

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