オオカミ弁護士の餌食になりました

 私の髪に顔を埋めるようにしていた香坂さんが、ふと離れる。

 両手をしっかり私の背中に回したまま、目線を合わせてくる。

 心臓の音が、時計の針の音に重なるようだった。

 ゆっくり顔を傾けながら、香坂さんが近づいて、そして唇が触れ合った。

 柔らかくてあたたかな感触に目を閉じる。心臓がどくどくと内側から急かすようなリズムを刻んでいる。

 オフィスでは突然のことに驚いて頭が真っ白になったけれど、二回目の今はしっかりと香坂さんのぬくもりを感じることができた。

 でも、息が続かなくなってくる。

 キスってこんなに長くするものなのだろうか。

< 116 / 157 >

この作品をシェア

pagetop