オオカミ弁護士の餌食になりました

 卒業する彼らと入れ違うように私が同じ大学に進学したあとは、香坂さんとは顔を合わせることはほとんどなくなったけれど、去年、思いがけず再会したのだ。

「しかし難儀な話だね。スキンシップができないなんて。真凛ちゃんは結婚願望が強いのに」

 くすくす笑う香坂さんは、兄による妹への横暴な振る舞いをすべて知っていて、私の事情にも明るい数少ない人間だ。

「その見た目じゃ、ふらふら寄ってくる男も多いだろうに」

 行間に、地味な格好をすればいいのに、という言葉が読み取れた気がした。

「拒絶反応が出るからって、自分の外見を無理に変えるのは、なにかちがう気がするから……」

 それはたとえば、痴漢に狙われないようにスカートを穿かない、ということと同じに思えた。

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