オオカミ弁護士の餌食になりました

「適任だと思うんだよな。ある程度触ることができるけど、家族ではない異性。君のまわりに、俺みたいな男はいる?」

「いません、けど」

「じゃあ、俺と荒療治、試してみない?」

 水槽の青い光が反射した瞳に見つめられ、思わず目を逸らした。

「それとも、俺が相手じゃ力不足かな」

「そんな、まさか」

 とっさに目を戻した。

「香坂さんはかっこいいし、紳士だし、弁護士だし、完璧人間ですよ」

 勢いのまま口にした私の本音を聞いて、彼はふっと微笑む。

「それは光栄だ」

「でも、だからこそ申し訳ないです」

「ん?」

「香坂さんの貴重な時間を、私のトラウマに付き合わせるなんて、もったいないです」

< 28 / 157 >

この作品をシェア

pagetop