オオカミ弁護士の餌食になりました
香坂さんは昨日からレート株式会社に赴き、経営陣から事業全体についてのヒアリングを行っていた。
昼前になって急遽「書類を持ってきてくれ」と呼び出された場所が、なぜかこのイタリアンレストラン。
ひとりで店の前に立っていた彼は、私が持ってきた書類を「助かったよ」と言って受け取ると、思いついたように「昼、まだだよな? お礼にごちそうするよ」となかば強引に私をこの店に引っ張りこんだのだ。
「本当はディナーに誘いたかったんだけど、しばらく時間が取れそうもなくてね」
「いえ。こんな贅沢なランチ、なかなかいただけませんから。ありがたく堪能させていただきます」
私が言うと、彼はふっと笑って皿にナイフとフォークを置いた。