オオカミ弁護士の餌食になりました
学生の頃はラブレターをもらってきたり、抱えきれないほどのバレンタインチョコを渡されたりしていたから、たしかに見てくれはいいのかもしれない。
中身は最悪だけれど。
空になったグラスをテーブルに置き新しくワインをもらって、私は再びパーティーの主役を見る。
感極まったのか、壇上で声を詰まらせた兄に、「なに泣いてんだー」とやじが飛び、笑いが起こった。
顔を赤らめている兄を眺めながら、でも、と思う。
本当に最悪な人間だったら、事務所の開業記念パーティーにこんなにたくさんの人は集まらないだろう。
兄は都内の司法書士事務所に勤めながら資金を貯め、開業したあとは専門業務以外に営業回りを自ら行い、信頼を得るために地域住民と交流を持ち、土日返上で働いていた。