オオカミ弁護士の餌食になりました

 人を惹きつける魅力をもつ、大人の男。

 そんな香坂さんが気障な言葉を囁くものだから、当然ながら私に対する周囲の女性の目は冷たい。

 ただでさえ浮いた格好をしていて、なによあの女、と思われていても仕方がないのに。

 やっぱり兄の記念イベントになんてこなければよかったかも、と思う。

 知り合いはちょこちょこいるけれど、会えて嬉しくなるような仲のいい友達なんてこの場にはいない。

 でも来なかったら来なかったで、あとで面倒なことになるのは明白だ。兄は嫌がらせかと思うくらい執拗にメッセージや電話をしてくるだろう。

 はあと溜息をついて、私はとなりを見上げた。

「あの、香坂さん」

 少し離れてもらえませんか、と言おうとしたところで、さきほどからちらちらと視線をよこしていた女性ふたりが声をかけてきた。


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