オオカミ弁護士の餌食になりました

「香坂さんは行かなくていいんですか? 懐かしい知り合いとか、いるんでしょう?」

「大学の友人より司法書士の同期がメインみたいだから、そんなに知った顔はいないよ。それに、君をひとりにしておきたくないしね」

 横目で私を見て、彼は言う。

「真凛は目立つから」

 優しい表情にどきりとして、目をそらした。ワインに口をつけ、気を紛らわそうと中央に設けられたビュッフェテーブルを指さす。

「それじゃあ、なにか食べ物でも」

 そこまで言ったとき、ふいに寒気を感じた。

「まりいいいん!」

 いきなり飛びついてきたタキシード姿の男を、すんでのところでかわす。

< 65 / 157 >

この作品をシェア

pagetop