オオカミ弁護士の餌食になりました

 男はつんのめるようにして絨毯の上を数歩行き、くるりと踵を返して再び突進してきた。

「来てくれたのか真凛! 兄はうれしいぞ!」

 抱き着いてこようとする兄を左肘でブロックしながら、私は力いっぱい言う。

「触らないで」

「なんでだよ!」

「拒絶反応が出るから」

「出ないだろ! 兄だぞ! 家族には出ないじゃないか!」

「出る。ていうか出す。全力で鳥肌出す」

「鳥肌も自由自在なのか! さすが俺の妹だ……!」

 兄と言い合っていると、となりで「ぶはっ」と噴き出す声が聞こえた。

 香坂さんが長身をかがめるようにして笑っている。

「あはは、本当に、君たち兄妹は最高だよ」

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