オオカミ弁護士の餌食になりました
彼に笑われ、周囲の注目まで集めていることに気付き、私は突き出していた肘を下ろして咳ばらいをした。
「ええと……一周年おめでとう、兄さん」
「ま、真凛……!」
濃い顔を歪めて感激に打ち震えているらしい姿を見やり、今日くらいは素直になろうと心に決める。
「こ、これからも大変だろうけど、頑張って」
言いなれないことを言ったものだから、声が震えてしまった。
ちらりと目を上げてみて、ぎょっとする。兄は大きな目を見開いて私を見下ろしながら、涙を浮かべていた。
「ちょっと、泣かないでよ!」
「真凛……兄はうれしい」
私が泣かせているみたいじゃない、と思いながら、慌ててクラッチバッグからハンカチを取り出した。