結婚のその先に
栞菜の隣に座る啓吾はニューヨークから戻った日のことを思い出していた。


栞菜との結婚は決まっていた。でも栞菜には好きな人がいるかもしれない。もうすぐ30歳になるような男は嫌かもしれない。俺を見てがっかりするかもしれない。


長く離れていたのにいきなり結婚。
しかも付き合ってすらいない。
栞菜はまだまだ若い。


栞菜にとって結婚することのメリットがなにも浮かばなかった。


だからこそ余計にロビーで眠る栞菜になかなか声がかけられなかったことを思い出していた。
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