SKETCH BOOK



「バイク?」


「そう。嫌か?」


「ううん」


橙輝の持っていた鍵は
バイクの鍵だった。


ヘルメットを受け取って被ると、
橙輝の後ろに跨る。


エンジン音が大きく鳴り響き、
バイクはゆっくりと動き出した。


「しっかり掴まってろよ」


橙輝はそれだけ言うと、
スピードを上げた。


過ぎ去っていく景色に
目を奪われていたあたしだったけれど、


ふと橙輝の方に目を向けた。


背中、意外と大きいんだなぁ。


こんなに近くにいることがあまりないから、
ちょっと新鮮な気持ちになる。


後ろから見る橙輝はこんな風に映るんだ。


「あぶねぇから、ちゃんと掴まって」


急に止まって、
橙輝は後ろを振り返った。


ドンっと橙輝の背中にぶつかったあたしは、
そのまま橙輝にしがみつく形になって、


ドキドキしながらもバイクはまた出発した。


「ねえ、どこに行くの?」


あたしがそう聞いてみても、
橙輝は気付かない。


風とバイクの走る音で
聞こえないのかな?


それにしてもどこに行くんだろう。


もう随分遠くまで来た気がする。


景色はいつもと違うもので、
見慣れない場所だった。


だんだん道は入り組んできて、
遠くの方に黄色い何かが見えてきた。


「あっ」




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