SKETCH BOOK
声を上げた時、バイクは止まった。
バイクから降りてその景色を眺める。
橙輝はバイクを停めてあたしの隣に立った。
「ひまわり畑!」
「お前好きそうだと思ってさ」
「うん!好き!」
沢山のひまわりがあたしたちを囲う。
見渡す限りの景色がひまわりでいっぱいだった。
橙輝の絵のネタになるうってつけの場所。
だけど今日はスケッチブックを持っていなかった。
絵、描かないのかな?
描かないならどうしてあたしを連れてきたのかな?
前は描くついでに海に連れて行ってもらったけれど、
今日は違うみたい。
ただ単にバイクに乗りたかっただけなのかも。
まあ、連れて来てもらったことに感謝しなきゃね。
「ねえ、今日は絵、描かないの?」
「ああ。今日はいいんだ」
「じゃあなんで連れてきたの?」
「妹連れて来ちゃ悪いのかよ」
「あ、そっか」
妹。
その言葉がズシリと重くのしかかる。
そうだよ。
橙輝にとってはただの妹になるんだもんね。
当たり前だよね。
何も思ってないことは分かってる。
分かってるけどでも、なんだか悲しい。
「ねえ!写真撮って、写真!」
気を取り直して、
一番綺麗に咲いているひまわりに近付く。
すると橙輝はめんどうくさそうに
自分のケータイを取り出してカメラを構えた。
じっと見つめられているみたいで緊張する。
それでもその緊張を隠して、
あたしは笑顔を作った。
パシャっとカメラの音がして、橙輝に近付く。
カメラを覗くと驚くほど綺麗に撮れていた。
周りのひまわり効果かな?
なんだかいつもより女の子に見える。