SKETCH BOOK






「見た?」


「見た!意外だよね」


「すごかった!」


あれから一週間経って、
学校に行くと教室中がざわついていた。


橙輝とあたしと浩平は三人で顔を見合わせた。


何をそんなに騒いでいるんだろう。


「綾子、どうしたの?」


近くにいた綾子に声をかけると、
綾子は橙輝を見て驚いた顔を見せた。


橙輝の顔に何かついてる?


そう思って橙輝の顔を見るけれど、
何も違和感はない。


首を傾げると、
綾子は言いにくそうに声を上げた。


「あのさ、鳴海くんって、
 そういう才能あったんだね!」


「は?」


「絵だよ!絵!上手いんだねぇ。
 びっくりしちゃった。
 普段何してるか分からない
 謎なところがあったけれど、
 いつも絵を描いてたんだね」


「何で知って……」


「みんな知ってるよ!だって
 職員室前の廊下に張り出されてたもん」


その言葉を聞いて、
橙輝と顔を見合わせた。


なんでそんなことになってるの?


橙輝は自分から絵を見せることなんてないのに。


橙輝は教室を飛び出した。


その背中を追いかけると、
職員室まで辿り着いた。


職員室前には人がちらほら集まっていて、
橙輝が来るとみんながひそひそ何かを話し出した。


見て見ると、確かに橙輝の絵がそこに飾られていた。


絵の脇には「コンクール最優秀賞受賞」
と書かれている。


一体どうしてこんな……。


「先生だ……」


山根先生だ。


あの時橙輝のスケッチブックを取り上げたから、
その時に絵を見たんだ。


でも、なんで勝手にそんなことを。




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