SKETCH BOOK


✻


あれから二週間。


浩平はいつも通りに接してくれた。


避けたりとかは一切なく、
いつも通りおはよう、とか、


またね、とか、
挨拶をしてくれる。


そのおかげで気まずくなったりはしなかった。


橙輝に話すと、そっか、と一言言っただけだった。


それでも、前みたいに
三人一緒とまではいかなくて、


やっぱり前とは違うんだっていうことを
思い知らされる。


浩平の存在が大きかったんだということに気付いた今、
あたしは少しの後悔を抱えている。




浩平とあたしが別れたことは
すぐにクラス中に広まった。


みんな不思議がっていて、
最初の一週間は質問攻めにされていた。


浩平は特にそうなったいきさつを言うこともなく、
他に好きな人が出来たんだと説明した。


あたしのためについてくれた嘘を思うと
胸が苦しくなる。


あたしもその嘘に乗っかり
話を合わせると辛くなる。


明るく答える浩平を上手く見られない。


どこまでもあたしは
浩平に甘えているんだなぁとつくづく思った。


橙輝はあれから変わらずにいつも通り。


新しいスケッチブックに絵を描いているけれど、
相変わらず見せてはくれない。


何を描いているのかとても気になる。


また麻美さんの絵を描いているんだろうけど。


あの日以来、橙輝の顔はどことなく
吹っ切れたような表情をしている。


それはいいことなんだろうけど、
あたしの中ではしっくりこない。


きっとまた、麻美さんへの嫉妬心が
舞い戻って来たんだ。


< 160 / 179 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop