SKETCH BOOK
学校から帰ってくると、
お母さんがリビングで
ゆっくりとテレビを見ていた。
それはドラマの再放送で、
時折テレビに向かって一人で相槌を打っていた。
さすが親子。
テレビの観方があたしとそっくりだ。
どこまでものん気だなぁ。
「お母さん、ただいま」
「あ、梓~。おかえり」
「橙輝は?」
「まだ帰ってこないわよ」
「そう」
冷蔵庫を開けて牛乳をコップに注いで飲む。
するとお母さんがソファから
身を乗り出してこっちを見ていた。
「何?」
「例の好きな子とはどうなったの?」
「えっ?」
「ほら、前に話していたじゃない。
好きになっちゃいけないっていう男の子」
そういえばそんな話もしたような気がする。
確かお母さん曰く
「好きになっちゃいけない人なんかいない」
らしいけど。
急にそんな話を振られて橙輝を思い浮かべる。
橙輝とはあれ以来、とても普通だ。
特に何もないまま二週間が過ぎた。
お母さんの期待していることは多分ない。
「何もないよ」
「相変わらず悩んでいるのね」
「あのね、面白がらないでくれる?」
「面白がってないわよ~」
「嘘つき」
ニヤニヤするお母さんを見てため息をつく。
すると玄関が開く音がした。
橙輝が帰ってきたのかな?
そう思ってリビングの扉を見つめると、
ゆっくりと扉が開いた。
やっぱり橙輝だ。
そう思ったのも束の間。