SKETCH BOOK
「橙輝?どうしたの、それ……」
「まぁ、大変。橙輝くん、
こっちにいらっしゃい」
中に入ってきた橙輝は
あちこち痣だらけで、
少し照れ臭そうにしていた。
「階段で転んだ」
「転んだって、なんで階段なんかで」
「ちょっと力抜けた」
力が抜けるなんて、そんなことあるの?
結構おっちょこちょいなところがあるのね。
お母さんが救急箱を持って橙輝に駆け寄ると、
橙輝はすまなそうな顔をした。
本当に危ないなあ。
痣が痛々しい。
こんな転び方するもんなんだなあ。
お母さんの手当てを受けて、橙輝は頭を下げた。
「すみません。心配かけちゃって」
「本当よ。橙輝くん、気をつけなさいね」
「はい」
「橙輝、意外と危なっかしいんだね」
「うるさい。ちょっとぼうっとしてただけだ」
どうせ絵のことを考えていたんだろうな。
そんなに絵が好きか。
呆れちゃう。
手を怪我したらいけないから
手をつかなかったのかな?
それにしても盛大に転びすぎ。
ちょっとの怪我くらい治せばいいんだから、
手をついたらよかったのに。
咄嗟に手が出ないくらいぼうっとしてたりして。
そう思うと笑えてきて、
一人で笑っていると橙輝に小突かれた。
夕食を終えてお風呂に入る。
柚子の香りがする入浴剤を入れて肩まで湯船に浸かると、
今日の疲れが一気に吹き飛ぶ。
しばらくゆっくりと入っていると、
誰かが洗面所に入ってきた。