SKETCH BOOK



離婚が決まったと思ったら再婚?


何それ。意味分からない。


「と言ってもママが再婚できるのは
 六か月後だからまだ先のことだけれど、
 明日から引っ越すわよ」


「ちょっと待ってよ。それって
 別な男の人と一緒に暮らすってこと?」


「いやだ、梓。これからはもう
 お父さんって呼ぶのよ」


「いやいや、大体離婚したばかりで
 もう再婚の話?
 ついていけないんだけど!」


「何よ。ママだってまだ恋愛できる歳よ?」


そういう意味じゃなくて……。


急展開すぎて頭が痛くなってきた。


「とりあえず、荷物まとめておいて。
 明日の夕方には引っ越しだからね」


ああ、お母さんは一度こうと決めたら
誰の話も耳を貸さない。


貫き通すのがお母さんだ。


それにしても不思議。


明日この紙を提出したら、
お父さんとはもう他人になってしまうなんて。


そのタイミングで、
お父さんが帰って来た。


ただいまも言わずに書斎へと消えていく。


あたしはご飯を片付けて
お父さんの書斎へと足を運んだ。




「お父さん、あたし」


「ああ」



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