男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
アベルとミシェルが部屋の前で立ち止まるのを見て、彼らは静かに扉を開けた。

居間へ入室し隣の談話室の扉から国王の寝室へ入るアベルにミシェルは付いて行く。
 
アベルは静かに扉を叩き、開けて中へ入る。
 
クロードは起きており、側に用意してあった今日の衣装に着替え終わっていた。


「おはようございます。陛下、お手伝いが出来ずに申し訳ありません」
 

入室するのが遅かったわけではない。いつも通りの時間だが、クロードは着替えを済ませていた。


「今日は早くに目が覚めたのだ。お茶をくれ」

「ただ今お持ちいたします」
 

クロードはミシェルに目を留めることもなく、寝室を出た。


(あの艶やかな髪は触れたらどんな触り心地かしら……)
 

絶対にありえないことだが、ミシェルは触れてみたいと思ってしまった。
 
ソファに座ったクロードにアベルがお茶を運ぶ。


「今日の昼食は庭でブラッサンス公爵のイヴォンヌ嬢ととる。なにか用があるかもしれない。フランツだけ控えていろ」

ブラッサンス公爵家は王室の遠縁にあたる一族だ。二十七歳の子息は騎士団に入り職務に付いている。
 
< 24 / 272 >

この作品をシェア

pagetop