男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「私のことはマーサが保証してくれる。女ったらしじゃないってね」

「そ、そんなことを考えているわけじゃ……」

「じゃあいいだろう? ミシェルと一緒だったら楽しそうだ」


グイグイ押してくるクロードにミシェルは頷いていた。


(やっぱり彼は陛下じゃない。こんなに屈託なく笑わないし……でも、いくらなんでも初対面で会った女の子を誘う……?)
 

初めて会った男性だ。警戒心は持たなくてはならない。人懐っこいミシェルだが気を引き締めた。


「では行こうか」
 

クロードが席を立つ。


「おや、もう行くのかい?」
 

客の注文を終えたマーサがふたりの元へやって来た。


「ああ。町をぶらぶらするそうだ。私は用心棒ってところかな」

「クロードなら十分用心棒になるだろうさ。ミシェル、楽しんでおいで」
 

マーサはふたりが一緒に出掛けるのが嬉しいのか、一緒に外まで出て笑顔で送り出した。


(マーサが信頼している人なら、それほど警戒しなくても大丈夫なのかな……)
 

人を信じやすいミシェルの頭の中はめまぐるしく考えが回っている。


< 61 / 272 >

この作品をシェア

pagetop