男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「へ、クロードっ!? それはっ?」

驚きすぎて危うく陛下と言いそうになり、慌てて名前を呼ぶ。

そしてミシェルの指先はクロードがつけてくれた髪飾りに触れようとした。だがクロードの手によって阻まれる。


「取らないでくれ」

「でもっ、これは高価な髪飾りですよね? いただけません」
 

ミシェルは掴まれている手を意識しながらも、しっかり断らなければと強く言う。


「私があげたいんだ。よく似合っている」
 

頭からミシェルの手が離れると、クロードの手も外された。


「村の娘には不似合いなものです。つけていくところもありません。ですから……お気持ちだけいただきます。これはお店にお返しください」
 

ミシェルの言葉にクロードは形のいい唇を歪める。


「これは返品できるものではない」
 

クロードの言葉の意味がミシェルにはわからなかった。
 
ミシェルは一度下ろした手を髪にやり、髪飾りを取った。


「それでも――」

「これはお前のものだ。必要がなければ売ればいい」
 

ミシェルの目が大きく見開く。


「売るなんてこと出来ません!」

「それならばつけてくれるだろう?」
 
クロードは綺麗な顔に笑みを浮かべた。いつもは冷淡な顔が途端に甘くなり、ミシェルは惹きつけられる。


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