男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
(せっかくのご厚意……)


「わかりました。ありがとうございます」
 

そこで手にした髪飾りをまじまじと見つめた。サファイアがいくつも連なっている。キラキラ光り、とてつもなく高価なものだとわかる。


(我が家の家宝になりそう……)


「つけてあげよう」
 

クロードは髪飾りを困惑した顔で見ているミシェルから取り上げて、彼女の髪にもう一度つけた。


「また会えないか?」
 

クロードがこんなに惹かれる娘は初めてだった。どこかで見たことのある顔に親しみを覚えるのだろうか。


「……いつ来られるかわからないのです。もう行かなければ……なにかあればマーサに伝言を……」
 

ミシェルはお辞儀を深くすると、駆け出した。
 
クロードは去っていく後姿をしばらく見守っていた。軽やかに走る娘はクロードの視界から消えた。
 
その時、侍従見習いのフランツの顔が思い出された。ミシェルの顔は侍従見習いにそっくりだったのだ。


「似ている……」


(あれほど似ている者がいるのだろうか……?)
 

逃げるように去って行ったミシェルのことを考えながらクロードは慣れた動きで黒馬の背へ飛び乗った。


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