男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
出来るだけクロードから離れようとミシェルは走った。

無我夢中で走っていたせいで、橋の上で向こうから来る馬車と危うくぶつかりそうになった。


「きゃっ!」
 

大きな車輪に当たることはなかったが、ドレスを掠めそうになったミシェルはその場に膝を付いて倒れた。
 
貴族が所有する黒塗りの馬車が御者によって急停車する。馬車を引っ張っていた馬二頭がその場で暴れて足踏みしている。
 
ミシェルは身をすくませながら、馬が静かになるのを見ていた。
 
揺れが止まった馬車の扉からひとりの女性が出てきた。
 
濃い青色の羽が付いたボンネットの帽子をかぶり、レースとフリルがたっぷりある赤いドレスを着たミシェルより年上の女性だ。


「あなた、なにをしているの!? もう少しで大変なことになったではないの!」
 

馬車から出てくるなり、ミシェルを激しく叱責する。


「もうしわけございません!」
 

その場に膝をついたまま、ミシェルは頭を地面に着きそうなくらいに下げた。


「あら? そんな小汚い格好で高価な髪飾り。これはどうしたの!?」
 

女性はミシェルの髪飾りに気づき、さっと髪から抜き取った。



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