男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「髪飾りが……」


ミシェルは泣いていた。人前で泣くことを嫌うミシェルだが、悲しくて仕方ないのだ。そんなミシェルにクロードは胸に痛みを覚えた。


(この娘が気になる)
 

見れば見るほど侍従見習いのフランツに似ている。


「好きなのを買ってやる。顔から下までびしょ濡れではないか。寒いのだろう? 震えている」
 

クロードは冷え切ったミシェルをどうにかしなければと考えた。
 
馬の背にミシェルを乗せ、クロードは身軽に飛び乗った。馬上でジュストコールを脱ぎ、ミシェルの肩に羽織らせると、マーサの店へ走らせた。

風を切って走ると寒さが切るようにミシェルにあたる。

冷え切ったミシェルはぶるぶる身体を震わせていた。クロードのジュストコールも濡れてしまっており、寒さはほとんど防げない。

ミシェルは震えを抑えようしたが、止められなかった。


「すぐにマーサの店だ。我慢しろ」


一刻も早く着くようクロードは馬を加速させた。


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