男装したら数日でバレて、国王陛下に溺愛されています
「じゃあ、どうしてこんなことになったのか話してちょうだい」


ミシェルは事の成り行きをマーサに話した。クロードの身分は伏せたままで。


「なんて酷いことを!」
 

マーサは貴族らしき馬車に乗っていた婦人がミシェルにしたことに憤慨している。


「でも一度は見つけて手にしたの……クロードさまに見つかってびっくりした拍子に落としてしまって……」
 

ミシェルはうな垂れた。茶色の髪が顔を隠す。


「もう……クロードさまと顔を合わすのは……もうしわけなくて……マーサ、お風呂に入ったら会わずにフランツになって城に戻りたいの」

「クロードはミシェルが気になるみたいだねぇ」
 

マーサは腕を組んで顔を顰める。


「……クロードさまは伯爵のご子息、私はただの村人……これ以上会わないほうがいいの」
 

マーサにはクロードは我が国の国王だと言わなかった。クロードも別人として気軽に町で過ごしたいのだろうと思う。


「わかったよ。ああ、もう湯が張ったと思う。入っておいで。クロードにはうまく言っておく。ドレスはちゃんと洗っておくからね」

「ありがとう。マーサ」
 

ミシェルは冷え切った重く感じる身体を引きずるようにしてお風呂へ向かった。


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