シェヘラザード、静かにお休み
それは、ルイスとは無縁の環境。
「あそこから出て生きていくには、金持ちの大人に上手く媚びを売れるようになるか、怪物みたいに強くなるしかないの」
「……お前は?」
「見ての通り」
媚びの方だ、とルイスは察した。
その顔の強張り様に、シーラは困ったように眉を寄せた。そして、口元に笑みを浮かべていた。
どこでもやっていける、とシーラは言った。
それは嘘ではないのだろう。どこでもやってきたシーラだから言えた。
ルイスはシーラの頭に、帽子の上に手を置く。
ぐいっと下げられて、ぐりぐりと撫でまわした。