シェヘラザード、静かにお休み

ルイスが言葉を返す前に、シーラの爪先は反対側を向いていた。

「ここを出た後、俺が後をつける……って聞いてるか?」

「そんなこと回りくどいこと、する必要がないわ」

今、店内には四人だけ。店長は厨房に籠っている。
ここで捕まえるのが一番手っ取り早いとシーラは踏んだ。

博打打ちのようなシーラの性格を理解していなかったわけではない。
ここ数日の平和な生活の中で、すっかり忘れていた。

トレイに乗った紅茶を持って、シーラはテーブルに近づいた。

そこまで近づいては、ルイスはもう動けなかった。
何かあったとき、他の方法でシーラを助けられない。

< 198 / 376 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop