シェヘラザード、静かにお休み
ルイスが言葉を返す前に、シーラの爪先は反対側を向いていた。
「ここを出た後、俺が後をつける……って聞いてるか?」
「そんなこと回りくどいこと、する必要がないわ」
今、店内には四人だけ。店長は厨房に籠っている。
ここで捕まえるのが一番手っ取り早いとシーラは踏んだ。
博打打ちのようなシーラの性格を理解していなかったわけではない。
ここ数日の平和な生活の中で、すっかり忘れていた。
トレイに乗った紅茶を持って、シーラはテーブルに近づいた。
そこまで近づいては、ルイスはもう動けなかった。
何かあったとき、他の方法でシーラを助けられない。