ドクター時任は恋愛中毒
電車を乗り継いで到着した彼女の自宅は、綺麗な低層マンションの三階だった。
部屋に着くまでの間に聞いたのだが、実家は千葉にあり今月から一人暮らしを始めたのだという。
「まぁ、今はひとりじゃないんですけど……」
「ひとりじゃない?」
ちょうど部屋の前でそう聞き返した時、水越がドアを開けるより先に内側からガチャっとドアが開き、一人の女性が出てきた。
派手な化粧に露出の多いドレス姿から、夜の仕事でもしていそうな雰囲気である。
「お姉ちゃん、ちょうどよかった!」
「ごめんねちょっと遅くなって」
「じゃあ私行くね?」
「うん、気を付けて」
ぴゅう、と風のように去っていった彼女。その後ろ姿を見送ってから「妹と暮らしてるのか?」と水越に問うと、ふっと笑った口元から予想外の答えが返ってくる。
「あと……姪もです」
「姪?」
「会えばわかりますよ。どうぞ」
そう招かれたものの、少し怖気づく自分がいた。
何を隠そう、俺は子ども――特に感情のままに話したり行動したりする幼児が大の苦手なのだ。
見ている分には可愛いが、接するとなるとどう扱っていいのかわからず、困ってしまう。